ロシア、自作自演の歴史『高層アパート連続爆破事件』

1999年にロシアで発生したロシア高層アパート連続爆破事件は、チェチェン独立派のテロとされた衝撃的な事件である。8月31日から9月16日にかけて、モスクワやブイナクスク、ヴォルゴドンスクなどの都市で集合住宅やショッピングモールが時限爆弾や車爆弾で次々と破壊され、約300人が死亡し、数百人が負傷した。この事件をきっかけに、当時首相だったウラジーミル・プーチンはチェチェンへの侵攻を再開し、第二次チェチェン戦争を引き起こした。プーチンはこの強硬路線で国民の支持を集め、大統領に選出された。

しかし、この事件の真相は今もなお謎に包まれている。事件の捜査では、チェチェンから運ばれた爆弾とされる物質や、チェチェン独立派と関係があるとされる容疑者が逮捕されたが、その証拠は不十分であった。一方で、事件の背後にロシア連邦保安局（FSB）が関与しているという疑惑が浮上した。特に9月22日にリャザンで発見された爆弾は、FSBが訓練用に仕掛けたダミーだったという説明が信憑性に欠けると指摘された。また、事件の真相を追及していた記者や政治家が次々と不審死していることも不気味である。

この事件は、プーチンが権力を握るためにFSBによって仕組まれた自作自演だったのではないかという説が根強く存在する。プーチンは元KGB出身であり、エリツィン大統領の後継者として無名だった彼を国民的英雄に仕立て上げる必要があった。また、エリツィンは自身の汚職を隠蔽するために戦争の非常事態を利用した可能性もある。この説を支持する証言や文献も多く存在するが、公式な認定はされていない。

ロシア高層アパート連続爆破事件は、ロシアの政治史において重要な転換点となった事件である。しかし、その真相は未だ闇の中にある。事件から20年以上が経過した今でも、多くの人々は真実を知りたいと願っている。